竜を狩る者
特に依頼受注に関して問題は起きなかった。

『伝説の狩猟者』の娘、若干12歳でワイバーンを仕留めた天才狩猟者のノエルならば、クエレブレ討伐もこなせるかもしれない。

ギルドもそう判断したのだろう。

仕事を請け、ノエルは早速城塞都市を出発する。

敢えてパーティーは組まない。

これもクエレブレ討伐に向かう狩猟者には多い事なのだが、財宝の分配の話し合いで、依頼受注前から喧嘩別れしてしまうケースが多いのだ。

金に目が眩んだ大人の狩猟者は、欲ばかりが先に立って協力する事を知らない。

そういった揉め事を嫌って、ノエルはソロでの狩りを選んだ。

財宝を独り占めしようという訳ではない。

以前から『クエレブレ討伐に成功したら、得られた財宝は全ての者に分け与える』と公言している。

ノエルは思うのだ。

きっとそうした方が、父も喜ぶ筈だからと…。

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