竜を狩る者
しばらく海沿いを歩いてみる。

特に発見らしい発見もないまま、のどかな風景が続いている。

ウミネコが鳴き、少し沖合いの方で群れている。

魚群でもいるのだろうか。

時折水面に降りては何かを啄ばんでいるように見える。

きっと小魚でも採っているのだろう。

いたって平穏な光景だ。

ノエルはクエレブレに関する手掛かりを何ら見つける事ができないまま、その光景を眺める。

狩猟というのは、こういう事も珍しくない。

狙った獲物がすんなり発見できる事の方が少ないのだ。

ましてやB級依頼以上になると、標的も希少種である事が多くなる。

時には獲物を発見する為だけに一週間以上野宿する事もあるのだ。

一日目が空振りする事くらい、覚悟しておくのは当然の事だった。

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