竜を狩る者
結局その日は何も手掛かりをつかめないまま、海岸線で野宿する。

眠っている間に肉食獣などに襲われないように火を絶やす事なく、鎧や武器も身につけたままで眠る。

忘れてはいけない。

街から一歩外に出た以上、ノエルももう食物連鎖の中の一つなのだ。

野生動物は人間だけを特別扱いなどしてくれない。

弱ければ簡単に餌食にされる。

それもまた父の教え。

眠っていても狩猟中は警戒を怠らず。

まだ幼い身でありながら、ノエルは一流の狩猟者のイロハをしっかりと身につけていた。

…眠ったようでいて、半分意識は覚醒したまま。

そんな状態のまま、やがて彼女は二日目の朝を海岸線で迎えた…。

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