竜を狩る者
砂浜へと逃れようとするアシカを、クエレブレはひと呑みにする。

体躯に比例して巨大な顎も持つのだ。

大人のアシカでさえ難なく飲み込める。

竜種の中でも大型の部類に入るだろう。

何度か竜種討伐を経験しているノエルですら、流石に圧倒される大きさ。

しかし。

「やっと見つけました、クエレブレ!」

背中に背負った身の丈ほどの片刃剣を抜剣する!

何の為に二日間粘ってきたのか。

全てはこの遭遇の為!

柄を両手でしっかりと保持し、体を大きく捻って遠心力をつけ。

「やああああああああああっ!」

ノエルは接近と同時に横薙ぎの斬撃をクエレブレに見舞う!

巨大な刀剣での一撃。

並みの竜種ならば、まともに食らえば昏倒するほどの攻撃だ。

だが、クエレブレはこれを。

「!?」

大きな顎で食らいついて受け止める!

「何するですか!放すです!」

剣を引き抜こうと力を込めるノエルだが、彼女の力を以ってしてもクエレブレの顎は放さない。

…ノエルは思い出していた。

クエレブレは光るものを収集する習性があると。

(このままじゃあ、剣ごと私もクエレブレの巣に引きずり込まれてしまうです!)

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