竜を狩る者
…それからどれくらい時間が経過したのだろう。

「…ん…」

ノエルは薄暗く湿った岩場の上で目を覚ます。

クエレブレに海中に引き込まれて、それで…。

「……」

ゆっくりと体を起こし、周囲の状況を確認する。

見上げるほどの高い天井を持つ、鍾乳洞のような場所。

恐らく引きずり込まれる途中で見た、あの洞穴の中だろう。

クエレブレは海底洞窟に巣を持ち、そこに多くの財宝を隠していると言われている。

ならばここがそのクエレブレの巣…!

幸いすぐ近くに、ノエルの片刃剣も落ちていた。

すぐにそれを手にして、油断なく構える。

洞窟の中は静かだ。

時折聞こえるのは、天井から滴り落ちる水滴の音のみ。

しかし、その音に混じって。

「…?」

地鳴りのような音が聞こえてきた。

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