竜を狩る者
(この音…洞窟の奥から…?)

足音を立てぬように忍び足で、ノエルは洞窟内を進んでいく。

暗がりにも目が慣れてきた。

目を凝らして奥を注視すると。

「な…」

そこにトグロを巻いているクエレブレの姿があった。

目を閉じ、規則的な呼吸をしながら動かないクエレブレ。

波打ち際でアシカを食い漁り、ノエルという『保存食』も巣に持ち帰り、満足したのか彼は体力回復の為に眠っていた。

先程の音はクエレブレのイビキだったのだ。

己よりも遥かに小さな体のノエルなど、まるで警戒していないかのようだ。

「随分と見下されたものです」

彼女とて狩猟者としてのプライドがある。

手にした巨大な剣を大きく振り上げて。

「その傲慢な態度、後悔させてやるです!」

ノエルはクエレブレの鼻っ面に思い切り剣を叩きつけてやった!

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