キミだけに・・・。
私は新しい家に来た。
おばあちゃんの家を取り壊し
綺麗に作りなおした家に。

そんな出来立ての家の中のまだ
荷物がダンボールから出されていない
何もない自分の部屋で私はもらったメッセージ集を広げた。

私と関わった事がない子もたくさんいたけどそんな子たちからも
『森さんがいなくなると寂しいです。』
っと書かれていた。

佐々木くんのページは・・・
『紗耶香ちゃんがいなくなるなんて僕思ってもいなかったから今でも信じられません、でも君の不安そうな顔を見ると少し実感しました。今まで本当にありがとう。そして次会うときに僕は君に伝えたい事がある。でわ、その日までバイバイ。』

桃ちゃんのページは、
『紗耶香ぁ(泣 あたし達はずっと親友だから!新しい場所だからって1人だと思ったらダメだよ?私らがいるから♪』
美紀ちゃんのページは、
『紗耶香が居なくなるなんて思ってもみなかった。紗耶香と出会ったとき正直こんなに仲良くなるとは思ってなかった。紗耶香との思い出は私の宝です。いつでも相談にのるから頼ってきなさい!!』

私はすでに涙がとまらなかった。

耕大くんからのページは、
『紗耶香ちゃんと出会ったときほんとに面白い子だなって思った。こんな面白い子に出会ったのは初めてかもって。でも紗耶香ちゃんと遊んでるうちに紗耶香ちゃんはすごい優しくて笑顔が輝いていて素直な子って分かった。だから毎日が楽しかったんだよ?俺。紗耶香ちゃんがいなくなったら楽しくなくなるな。絶対に会いに行くから待ってて、紗耶香。』

私の事をはじめて“紗耶香”って呼んでくれた。それに“待ってて”って・・・
また好きの気持ちが積もる。

私は涙がとまらなくなった。
こんな町に来たくなかった、
みんなの側にいたかった。
私は何度も心の中で耕大くんの名を
呼んだ。

君には私の声届いていましたか?
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