【短編】ぼくはポチ
「心配してくれてるの?」
ミキちゃんがぼくの目を見つめて言う。
―そうだよ。だから泣かないで?
ぼくが居るよ?
「泣いてばっかりじゃダメだね」
ミキちゃんの涙が止まりかけた頃
ドアがコンコンと鳴る。
「ミキ?ポチを上げたらダメでしょ?」
ママさんだ。
ママさんはドアを開けて、
ぼくに
「おいで。下に行こう」
と言う。
嫌だ。
ぼくがそう思ったって、
その言葉に従わなきゃいけないんだ。
「ポチ、抱っこ」
ぼくは階段を登れても降りれない。
その高さに足がすくんでしまうんだ。