【短編】ぼくはポチ
ミキちゃんの部屋の前で

“お座り”をしてママさんが

『コンコン』とドアを叩く様子を真似する。

でも、ママさんと同じ音はしなかった。

爪が当たって『カリカリ』と鳴る。

その音がぼくの心を虚しくさせる。



―カチャ…



ミキちゃんの部屋のドアが開く。

「おいで」という声が聞こえない。

その言葉が聞こえないと

入ったらいけない事をぼくは知っている。

それが聞こえないからぼくは

“お座り”をして待つ。


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