【短編】ぼくはポチ
ミキちゃんの部屋は明かりも点けないで

暗かった。

だけど、

窓から差し込む月明かりが綺麗だった。


―ミキちゃん?


ぼくの言葉はミキちゃんが

一番理解してくれる。


「ポチ…おいで」


入ってもいいみたいだ。

タタタと小走りでミキちゃんの傍へ行く。

だけどミキちゃんは

ドアを閉めることの出来ないぼくの代わりに

ドアを閉める。

ドアを閉めたミキちゃんは、

ぼくの隣に座ってぼくの頭を撫でる。


「ポチは偉いね。
 あたしが『おいで』って言うまで
 待ってるんだもんね」



少しだけ笑顔を見せたけど

涙は止まっていない。

ぼくはミキちゃんの頬の涙を舌ですくう。


ミキちゃん、どうしたの?


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