夏の鈴
夏の日、夢の中
チリン……チリンチリンチリン…
耳の奥で激しく鳴る風鈴の音
風でも吹いて来たのかな?なんて思っていると…俺はハッと目を覚ました
いつの間にか寝ていたみたいで、庭は夕暮れになっていた
慌てて立ち上がり走り出すと、縁側と居間の段差につまずき勢いよくコケた
それと同時に膝を強く打ち、『痛っ……』と顔を曇らせた
『おいおい、どうした?そんなに慌てて』
居間の奥から聞き覚えのある声がして俺は思わず顔を上げた
夕焼けに照らされ現れたのは親父だった
!!!!!!!!!!!!!!!!
膝の痛みなどぶっ飛んでしまう程の衝撃
『う、うわぁお化け!!』
子供みたいに声を上げてしまった
腰が抜けて、逃げるにも逃げられない
親父はそんな俺を見てクスリと笑った
『どうした?お化けの夢でも見てたのか?』
親父は呆れ顔で居間に座ると、いつものように新聞を広げていた
俺は状況が理解出来ず、まだ夢の中に居るのではないかと錯覚していた
だけど良く見ると、散らかっていた居間は綺麗に片付けられ、テーブルも一つに戻っていた