夏の鈴


二階の自分の部屋に行き、少しだけため息をついた

部屋は何一つ変わっていないけど、おふくろの表情は変わっていた

当たり前の事だけど、おふくろにとって親父がどれだけ大きな存在なのか分かる


自分の部屋のカレンダーを見ると、やっぱり日付は7月19日だった


明日から夏休み…って事は今日は終業式

だから俺は制服なのか……

夢の中の自分と今の自分が繋がらなくて、頭が少しだけ痛かった


…すると、ブーブーとどこかでバイブが鳴っている

ブーブーブーブー


それは俺のカバンの中からで、メールが一件届いていた


【今どこ?みんな岸本の家で集まってるよ】

メールは友達からだった

岸本の家………?

俺の中でグルグルと駆け巡る記憶の糸

岸本というのは仲がいい友達の一人で、親が共働きな為、いつの間にたまり場になっていた

そして俺は……7月19日から7月28日までそいつらと遊んでいた


家に帰らず夏休みの間ずっと

なんだ…この気持ち悪い感じ


俺は夢を見ていたんだ

夏休みの間友達と遊びまくって、親父の死に目に会えなかったっていう嫌な夢を……


ブーブーブーブー

また携帯が鳴った


【あ、お菓子がないからコンビニで買ってきてね】

再び送られてきたメールは雑用のメール


なぜか嫌な汗が背中に流れた


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