夏の鈴
重い足取りで居間に行くと、普段は集まらない親戚一同が集合していた
まだ昼間だというのに酒を飲んでる人も居れば、悲しみに浸ってる人
共通してる事と言えば、皆黒い洋服を着ている事だけだ
居間の隣の部屋も開放して、真ん中にはテーブルをつなぎ合わせた長いテーブルが続いていた
『お、あつし!またでかくなったな!』
父親の兄である叔父さんが、こっちに来いと手招きをした
叔父さんの前には食べかけの天ぷらに刺身、そしてビールのビンが二本空けてあった
『あつし、お前身長いくつだ?叔父さんどんどん色んな人に背抜かれちゃって悲しいなー』
叔父さんは酔っているらしく、顔を真っ赤にして俺の頭をワシワシと撫でた
『お前も飲め、ビールは旨いぞ!特にこんな暑い日にはな』
そう言って俺に酒を強要する叔父さんの頭が縦に揺れた
『あっちゃんは未成年ですよ。それに…そんなに飲んだら夕方までに…』
叔父さんの頭を叩いたのは叔父さんの妻である千代子さん
『うるせー。飲みたい時に飲んで何が悪い!』
ろれつが回っていない叔父さんは俺に注いでくれたビールを一気に飲んだ