夏の鈴



重い足取りで居間に行くと、普段は集まらない親戚一同が集合していた

まだ昼間だというのに酒を飲んでる人も居れば、悲しみに浸ってる人

共通してる事と言えば、皆黒い洋服を着ている事だけだ

居間の隣の部屋も開放して、真ん中にはテーブルをつなぎ合わせた長いテーブルが続いていた


『お、あつし!またでかくなったな!』

父親の兄である叔父さんが、こっちに来いと手招きをした

叔父さんの前には食べかけの天ぷらに刺身、そしてビールのビンが二本空けてあった


『あつし、お前身長いくつだ?叔父さんどんどん色んな人に背抜かれちゃって悲しいなー』

叔父さんは酔っているらしく、顔を真っ赤にして俺の頭をワシワシと撫でた


『お前も飲め、ビールは旨いぞ!特にこんな暑い日にはな』

そう言って俺に酒を強要する叔父さんの頭が縦に揺れた


『あっちゃんは未成年ですよ。それに…そんなに飲んだら夕方までに…』

叔父さんの頭を叩いたのは叔父さんの妻である千代子さん


『うるせー。飲みたい時に飲んで何が悪い!』

ろれつが回っていない叔父さんは俺に注いでくれたビールを一気に飲んだ



< 2 / 55 >

この作品をシェア

pagetop