夏の鈴


きっと俺が歩み寄らなければ、何も変われないんだと思う

『……お、親父はなんで今日休みなの?夏休みなんて取れる訳ないでしょ』


疑問に思った事、聞きたい事は全て話そう

そうじゃなきゃ…タイムリープした意味がない


親父は少し微笑みながら、左肩をクルリと回した

『最近疲れがとれなくてな。思いきって有給を使って7月いっぱいまでは休む事にしたんだよ』


親父はその後、『まぁ…たまにはこうやってゆっくりする時間も必要だよな』と笑った


こんな話…全然知らなかった

絶対に仕事を休まない親父が長期の休みを取っていたなんて


だけどまた一つ、後悔したくない事が浮かんだ

タイムリープする前の俺は、昨日から出掛けたまま家に帰っていなくて

俺の状況は変わっていても、親父の状況は変わっていない

本当ならば、今俺はここに居なくて…

親父は一人で縁側から庭を見ていた事になる


親父はどんな事を思っていたのだろう?

一言、明日から休みなんだと言ってくれたら良かったのに


…でも、そう言われた俺は、果たして遊びに行かなかったのかな?

ううん、きっと行ってしまったと思う

だから何?って、俺には関係ないって



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