夏の鈴
夏の日、約束
そして7月23日の朝が来た
俺は今日も目覚ましより早く目が覚めた
…というより、あまり寝れてないのが本音
ベッドに横になると、タイムリープする前の事を色々考えて寝れなくなる
それで…朝が来る度に怖くなる
親父が死ぬまで後4日
俺は一階に降りて、居間に向かった
まだ誰も起きてない為、家はシーンと静まり返っている
毎日うるさいセミさえ今は鳴いていない
俺は何かに導かれるように縁側に向かった
網戸になってる戸からは綺麗な庭が見え、頭上には風鈴が吊るしてある
風が吹いていない風鈴の鈴を手で静かに揺らした
チリン…と一回だけ音が鳴り、なぜか虚しくなった
最近、心の中で自分の都合のいい事ばかりを考えるようになってる
やっぱりあれは夢だったんじゃないかって、
親父が死ぬなんて夢の中の出来事だったんじゃないかって
『あれ?あつしもう起きてたのか。今日は風1つなくて蒸し暑いな』
居間の廊下には親父の姿
いつもと変わらない親父の姿
だって夢じゃなかったら俺はどうやってその事実を受け入れればいいの?
こんな事を親父の顔を見ながら何度も思った