笑顔の法則
緑
始めの第一歩
加納緑は笑わない。
けど その無愛想なところがいい、らしい。
私には全くわかんないけどね!
17歳にしてこの男への無関心はどうかと思うとよく言われるけど、興味ないものはしかたがない。
「ね、加納くん、課題やってきた?」
私の友達にして、加納緑に話し掛けるという勇者: 沙南が言った。
「………。まあ」
「まあ」、なんなんだよ!!
はっきりしないやつだな
「あたしできてないんだぁ…。加納くん、見せてくれない?」
「……自分でやりなよ」
沙南、見事に玉砕。
「沙南、ドンマイ」
「あかり 分かってないなぁ。あーいうところもいいんだよ?」
どこに、どんな魅力があるのかさっぱりわかりませんが。
あれで 去年の“チョコレート屋が1番儲かるイベント”には、かなりの数をもらったらしい。
「高野さんは?課題できた?」
「あ、うん、一応やったよ」
いきなり言われてびっくりしたじゃん。
あんど 隣の沙南の目が怖いです。
「なら、高野さんに教えてもらいなよ、寺山さん」
「まぁ結局いつもこうなるんだよね~。よろしく!!あかり」
「うぉい、待て! どうして沙南には“自分でする”って選択肢がないの!!」
あはは、と沙南が笑う。
私もつられて笑う。
加納緑は、笑わない。
窓の外をちらっとみて、無表情だった。
……まぁ、わかるけどね。
……わかるだけに、イライラする。