誠ノ桜 -桜の下で-
――…
「そんな、過去が……」
全てを聞き終えた沖田は、溜め息混じりにそ
う呟いた。
「私は半人。だから、剣術も普通の女子と違っ
て発達しているのよ」
まぁ、気にしていないけどと続けて、凜は顔を
上げて沖田を見た。
「松平様をお守りすると決めたから……私は、
あの方の下へ帰る」
そして、瞳に悲しげな色を宿らせる。
「自分の想いが、他にあっても」
それが、私なりの恩返しだから。
そう言って立ち上がる。
沖田は、凜を後ろから抱き締めた。
「俺が、行くなって言っても?」
「………………うん」
「俺が…、好きだって言っても?」
凜は目を見開いて、思わず振り返った。
余りの近さに赤面したが、離れる隙も与えず
唇が重なった。
「凜、好きだよ」
「っ…、私は…」
グッと力を込めて沖田の胸を押した。