誠ノ桜 -桜の下で-
――…
深々と降る雪。
その頃、壬生浪士組は新選組となって市中の
見回りを強化していた。
一方特攻隊は、夜の町を見回っている。
『巷で噂になっている辻斬りを粛正せよ』
との特別指令だ。
あまり人数が多いと警戒されそうだという事
で、凜は氷上と行動していた。
珍しく、宮部と一緒ではない。
「辻斬りって、どの辺で横行しているの?」
「抜き打ちしやすい場所が多いらしい」
「なら、三条大橋に来るかもね」
行くわよ、と言うと凜は橋の近くの裏道に身
を潜めた。
「辻斬りが来たら…私が囮(オトリ)になって、
斬り合いの時に諒が入る…いいわね」
「あぁ」
凜は如何にも町人という体を装って、橋を歩
いた。
それを待っていたかのように、向かい側から
五人の浪士が歩いてくる。
含んだ笑みを浮かべる奴らは、恐らく辻斬り
であろうと予想出来る。
…それにしても、相手が五人というのは誤算
だったようだ。