誠ノ桜 -桜の下で-
不利、と言う訳ではないが…。
凜が輩と擦れ違う寸前、一人が先陣を切って
仕掛けてきた。
来た、と言わんばかりに凜は口角を上げる。
ッキイィィン!!
刹那、刃が触れ合う音が響く。
まさか受け止められるとは思っていなかった
のか、皆は慌てて抜刀した。
「っ…な、何だこいつ…!」
凜に刀を弾かれた男は、動揺から叫びに近い
声を上げた。
「馬鹿ね。あんた、自分で追い込んでるわよ」
凜が余裕の表情で笑うと、男は怯んで反対方
向へと逃げようとする。
「……簡単に逃げられると思うなよ」
次の瞬間には、断末魔の叫び声が響いた。
氷上が男を斬ったのだ。
見るからに強そうな氷上と女の凜に挟まれ、
残りの四人は凜の方へと斬り掛かった。
「見る目がないわね」
ポツリと呟くが早いか、凜は刀を空に突き上
げた。