誠ノ桜 -桜の下で-
切腹しようとする奴も、容赦なく斬り捨てる。
「薫、ここは任せる」
「承知。凜、奥は任せる!」
「真似禁止」
「あいあーい」
戦いの最中軽口を交わすのも、余裕の表れだ。
しかし任務は真面目に熟す凜は、奥の襖を斬
り開けた。
そこはまだ騒動に気づいていない輩がいて、
凜を見ると慌てて刀を構える。
「会津藩松平公直属部隊特攻隊、あんた達を粛
正しに参った。無駄な抵抗は止めなさい」
――…
「あーあ、ここ血の海になっちゃったね」
「抵抗するからだろ」
「大人しく捕まって頂けたら、こんな事にはな
らなかったんですけどね」
全ての片がついて、皆口々に呟く。
誰一人怪我をしていないというのは、流石特
攻隊だ。
「てか隊長、かっこよかったなーあれ」
「どうでもいいから、帰るよ」
宮部がニヤニヤしながら凜を見たが、相変わ
らず顔色一つ変えずに踵を返した。