誠ノ桜 -桜の下で-
「辻斬りを退治したんやって?」
新作の団子を十本持ってきて、お将は瞳を輝
かせながら身を乗り出す。
「ま、まぁ…」
余りの食いつきに、凜すらたじろいだ。
「ほんま凜ちゃん凄いわぁ!強いんやなぁ」
「ありがと」
友達で良かったと言うお将に、凜ははにかん
で笑った。
それから団子を一口頬張る。
「美味しい…桜の香り?」
「よぉ分かったなぁ、桜よ」
ふふんと得意げなお将。
「それね、あたしの提案で作った団子なんよ」
「へぇ…凄く美味しいよ」
また一口、と一本あっという間に完食。
「桜の花びらを潰して餅と一緒に練り込んで、
上品に白餡を付けたお団子。名付けて……は、
まだ決めてない」
凜はズルッとこけた。
「考え中なんよ。桜餅やったら普通やしね?」
何かない?と凜に助けを求める。
何だか、捨て犬のようだ。