誠ノ桜 -桜の下で-
「薫、隊長かっこよかったんですか?」
「そりゃーもう!」
知りたい知りたい、と目を輝かせる犬山。
宮部は得意げに話し出した。
「六人に囲まれたと思ったら、凜ってば刀一振
りで全員斬っちゃったんだよ!!」
「おぉー、凜かっこいいです!」
当の本人は、はぁと溜め息を吐いて歩調を速
めて歩いた。
「松平様、任務完了です」
「ご苦労、特攻隊の皆」
会津藩邸に帰り報告を済ませる。
そこで解散となった。
「あぁ姫」
「…何でしょう」
「近々江戸の将軍殿に用があるのでな、姫に
お供をしてもらいたいのだよ」
「はい、勿論です」
姫ではありませんが、とにこやかに訂正しな
がら頷いた。
「では姫私と散歩で「ご自分の立場をご理解く
ださい、藩主の癖に」
この場に会津中将お預かりの者がいたなら、
迷わず凜をぶっ飛ばしていただろう。