誠ノ桜 -桜の下で-
「数は不利。力は私が上。何が可笑しいの?」
「はっ。強気でいられるのも今の内だ」
少しだけ焦りを見せた男達に、凜は笑顔を消
した。
「……嘗めんじゃないわよ」
余りの気迫に、男達が怯む。
その瞬間に、凜は正面に刀を振った。
袈裟懸けを浴びせられた一人は、呆気なく崩
れ落ちる。
「ひ、ひぃっ…」
「馬鹿、怯むな!!」
頬に付いた返り血を拭う凜に、斬り掛かろう
とする勇気のある者はいない。
自分より圧倒的に強い敵と戦う時は、数に頼
るのが一番だ。
後は、その敵が数より強いか否か――
残りの十四人は構え、一斉に飛び掛かる用意
をしている。
凜もそれに対応出来るように構える。
この場合、どちらが生き残るかはまだ分から
ない。
「……うぉおおぉぉおお!!!!」
一人が気合いを発したのを合図に、十四人が同時に地を蹴った。