誠ノ桜 -桜の下で-



「数は不利。力は私が上。何が可笑しいの?」

「はっ。強気でいられるのも今の内だ」


少しだけ焦りを見せた男達に、凜は笑顔を消
した。


「……嘗めんじゃないわよ」


余りの気迫に、男達が怯む。

その瞬間に、凜は正面に刀を振った。

袈裟懸けを浴びせられた一人は、呆気なく崩
れ落ちる。


「ひ、ひぃっ…」

「馬鹿、怯むな!!」


頬に付いた返り血を拭う凜に、斬り掛かろう
とする勇気のある者はいない。


自分より圧倒的に強い敵と戦う時は、数に頼
るのが一番だ。

後は、その敵が数より強いか否か――


残りの十四人は構え、一斉に飛び掛かる用意
をしている。

凜もそれに対応出来るように構える。


この場合、どちらが生き残るかはまだ分から
ない。


「……うぉおおぉぉおお!!!!」


一人が気合いを発したのを合図に、十四人が同時に地を蹴った。



< 123 / 154 >

この作品をシェア

pagetop