誠ノ桜 -桜の下で-
三人は最後に一言ずつ残して行き、部屋には
静寂が流れた。
「……総司は戻らないの?」
「うん。凜が寝るまでいる」
表情には出さないものの、今凜は嬉しさを感
じていた。
「じゃあ……、」
熱の所為か、何となく人肌が恋しい。
そう思った凜は、沖田の膝の上にある手に自
分のそれを重ねた。
「手…握ってて、いい……?」
「………っ」
自分を見つめながら甘えた発言をした凜に、
沖田は顔を仄(ホノ)かに赤くする。
「何なら……添い寝、してあげよっか」
「……うん」
いつもの調子でからかってみても、今日の凜
は素直だ。
逆に沖田のペースが崩される。
「ほんとに、横に寝るよ?」
「うん」
(天然のタラシだ……凜)
そんな事を思いながらも、沖田はちゃんと自
室から布団を持ってきた。
「………襲われても知らないよ」
「総司は、そんな事しない」