誠ノ桜 -桜の下で-
「そう……」
何となく、沈黙が流れた。
だがそれは気まずいものではなく、何故か心
地好くて……。
沖田はそっと、凜を抱き寄せた。
「好きだよ。凜の事が、好き」
耳元で聞こえる声に、凜は顔を赤くする。
「凜は?」
「…………」
(これは、言わないと駄目よね……)
恥ずかしさを堪えて、凜は沖田を見上げる。
「私……も、……………好き」
小さな小さな声。
だけど、沖田の耳には十分届いた。
「誰が?」
「っそ、……総司が」
「俺が、何?」
「す……す………って、さっきの聞こえて――
んっ…!?」
恥ずかしさの余り沖田を睨みつけようとした
のだが、顔を上げた瞬間にそんな考えは吹き
飛んだ。
取り敢えず今は、沖田に身を委ねて口づけを
交わす――…。