誠ノ桜 -桜の下で-
目を瞑って歩いていたらしい氷上は、視線を
感じて瞼を開けた。
「あぁ…まぁ」
…江戸も初めてのようだ。
「凜は江戸、久しぶりですか?」
「うん、かなり久しぶりかな」
凜は江戸に来るのは離れて以来だ。
そうこうしている内に、江戸城が見えてきた。
「護衛はここまでで構わないから、お前達は
江戸を楽しんでおけ。一刻後に迎えを頼む」
「「「「承知」」」」
松平に深く礼をし、四人は顔を見合わせる。
「さぁて、どこ行きますか隊ちょ「別行動よ」
犬山の嬉々とした声を遮り、凜は背を向けた。
「当たり前でしょう、四人だと目立つ」
「まぁ…そーだよねー。俺は散歩して来る」
「えぇえ、薫まで!…諒はどうします?」
凜はともかくいつもは乗って来る筈の宮部ま
でもが否定したものだから、犬山は不服の声
を漏らし氷上に助けを求めた。