誠ノ桜 -桜の下で-
「突然だが姫、暫く壬生浪士組に入れ」
そう、本当に突然だった。
突然過ぎて、凜は思わず引き攣りながら「は?」
と声を漏らした。
「いやな、壬生浪士組の芹沢の行動を監視して
ほしいのだよ」
なら忍に頼めばいいし、何も隊入りしなくて
もいいじゃないか。
そう思わずにはいられない。
「何故私ですか」
「面識もあるのだろう?それにな、敢えて忍で
はない方が都合がいい」
意味は分からなかったが、松平の命だ。
断るなんて言語道断、凜はふぅと息を吐いた。
「承知しました」
そして後日、凜は局長室にいた。
「松平様からお聞きかとは思いますが、これか
らお世話になります」
「いやいや、こちらこそ!!やぁまさか、彼の有
名な水城さんが来てくれるとはなぁ」
人当たりの良い笑みを浮かべる、芹沢局長と
対になる局長 近藤 勇(コンドウ イサミ)に、凜はニ
ッコリと笑った。