誠ノ桜 -桜の下で-



『桜姫(さくらひめ)』


"桜"を想わせる戦い方と凜とした姿に、
松平様のお気に入りで"姫"のような扱い。

会津の藩士から、今や町民全員知っているこ
の呼び名。

それが、凜なのだ。


噂の凜様とあらば、町民達が騒ぎ出すのも無
理はない。


「み、みみみみ水城 凜っ!?」


浪士はカタカタと震え出す始末。

凜は相当の剣豪なのだ。


「済みませんでした!!!!」

「…私に謝られても」


と呟いた事を鋭く聞き付け、浪士は女に土下
座をした。


「あんたには武士の誇りとかないの?」


浪士は涙を流しながら、額を地面に擦りつけ
ている。

今も十分みっともない。


「二度とこんな事はしないように」

「はいっ!!!!」


そう言うと浪士は一目散に逃げ帰る。

凜は助けた女に何度も頭を下げられた。

その帰り、時間もあるので甘味処に寄る事に
した。



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