誠ノ桜 -桜の下で-
沖田はいきなり呼び捨てなのかと驚く。
「じゃあ総司と一。今から稽古?」
「まぁね。一緒に行く?」
何故か斎藤も巻き込まれたが、何も言わない。
沖田がそう誘うと、意外にも凜は食いついた。
「行く!」
凜は試合が好きなのだ。
「…水城」
「凜でいいよ」
稽古場の狭さに気分が下がりつつも、竹刀を
手に取るとやはり楽しみだった。
竹刀を確かめる凜に、斎藤は無表情に問う。
「…凜、俺と試合をしてくれるか」
「勿論」
ニヤリと笑って、凜は竹刀を構えた。
「…総司」
「はいはい。次は俺だからね」
「そんな勝手に…いいけど」
試合を始めると、隊士がかなり集まってきた。
余程凜の腕前が気になるのだろう。
しかし息のつく間もない内に、試合は終了と
なってしまった。
…凜が勝ったのだ。