誠ノ桜 -桜の下で-
そう言って沖田が凜の目前にちらつかせたの
は、綺麗な色をした金平糖だった。
甘味に目がない凜は、ごくりと生唾を呑む。
「…食べたい?」
「食べたい」
即答した凜にクスクス笑いながら、沖田は再
び部屋へ入った。
「俺、金平糖が一番好きなんだよね」
「私も好き、金平糖」
金平糖を食べて上機嫌になっているのか、凜
は可愛い笑顔を浮かべた。
(…………っ……)
不意打ちの笑顔にドキリと胸が鳴る沖田。
当の本人凜は、思いもせずに金平糖を頬張っ
ている。
「…………ねぇ」
「何?」
キョトンとする凜に、沖田は金平糖を一粒差
し出した。
「はい、あーん♪」
「あーん…?」
気がつけば最後の一粒。
食べたいが、羞恥心が勝る。
「……いらない」
「素直じゃないなぁ」
と言って最後の金平糖を食べる沖田。