誠ノ桜 -桜の下で-
凜はじとっと沖田を睨んでいたが、急にふと
天井を見上げて立ち上がった。
「金平糖、ありがと。私仕事があるから」
「え、うん。行ってらっしゃい」
ひらひらと手を振り、明らかに出て行こうと
しない沖田を無理矢理立たせて追い出す。
凜は沖田が部屋へ戻ったのを確認すると、ま
た上を見て呼び掛けた。
「烝」
「やっぱばれてたか。準備あるから、行くで」
天井からサッと降りてきたのは、山崎だった。
「ほな行こか、総隊長♪」
山崎の妙なノリを無視し、先に歩き出す。
会津にいた時からの慣れっこなのだ。
――…
「はぁ…」
島原の一室、凜は盛大に溜め息を吐いた。
既に山崎が話を付けていたらしく、着いて
直ぐに着付けやら化粧やらが始まった。
「綺麗やのに…、何で溜め息?」
「煩い」
芸者の格好、というのがどうも嫌らしい。