誠ノ桜 -桜の下で-
というか凜、まだ会津の者にしか知られてい
ないが実は――…
「先ずは副長らの所へ行こか」
「……はぁ」
だいたい半刻ぐらいで準備が済んだ二人
(女装した山崎を含む)が土方の所へ向かう。
凜は心底嫌そうで、先に歩いている山崎を軽
く睨んで八つ当たりをする。
「副長ら、って…何人来てるの」
「えーっと…土方さんに沖田さん、斎藤さんと
原田(ハラダ)さんや永倉(ナガクラ)さんで、後は
藤堂(トウドウ)さん。あ、局長は勿論やで?」
ズラズラと長い羅列に、凜の表情は更に
曇っていった。
二番組組長 永倉 新八(シンパチ)や
八番組組長 藤堂 平助(ヘイスケ)、
十番組組長 原田 左之助(サノスケ)とは一応の面
識がある。
つまりは、凜のよく話す幹部が来ている…と、
言う訳だ。
「…帰ってほし「馬鹿言うなや、凜」
独り言を遮られて、余計に気分が下がる。