誠ノ桜 -桜の下で-



そう口々に呟いたのは、永倉・原田・藤堂の
三人だ。

その隣では斎藤が、何故か壁を見つめている。


「ほぉ…結構な上玉じゃねぇか」

「流石、姫と呼ばれるだけあるなぁ!」


皆の反応が「おぉ!!」ではなく「おぉー…」と
いうものなので、凜に不安が過ぎる。

…本当にこれでいいのだろうか。


「ちょ、俺の女装については?」

「いいんじゃない?…ずっとその格好で」

「お、沖田さん。背後が黒い、黒いですよ!?」


ギャーギャー言い出した山崎を軽く制し、
近藤と土方に指示を煽る。


「近藤さん、土方。芹沢さんの座敷に行って
上手くお酒を勧め、行動などを探るというの
でいいですか?」

「ちょ…、ちょっと待て」


淡々と話を進めていたのを遮って、土方が顔
を引き攣らせながら凜を見た。


「何でお前、俺を呼び捨てにしてんだ?」


その問い掛けに凜は「は?」と言うかのように
眉を寄せる。



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