誠ノ桜 -桜の下で-
「違う、絶対ない…!」
「え何、どしたん?」
思わず心の声を口に出してしまった凜は、
山崎の呼び掛けでハッと我に返った。
「……何でもない」
「えぇ、流した!」
煩い、と一言牽制して立ち止まる。
「ここか」
「せや。ようわかったな」
立ち止まった所の部屋では、どんちゃん騒ぎ
をしている芹沢一派がいた。
「てかこれ、指名されてもないのに入って
本当に大丈夫な訳?」
「さぁ。何とかなるやろ的な?」
ニヘッと笑う山崎を一発殴ると、その場に
正座をした。
「いたたた…花魁に何てこ「烝、仕事をしろ」
一睨みされた山崎は小さくなって頷き、
凜の隣に正座をした。
凜は一度松平の命令で偵察をしていただけ
あって、慣れた手つきで襖を開ける。
「凜…何日花魁やっててん?」
「一月」
さらっと答えると、凜はさっさと中に入る。