誠ノ桜 -桜の下で-
「壬生浪士組言うたら、偉い怖い所や聞きます
けど…本当は、どんな所なんどすか?」
「ほぉ、噂を信じぬか」
一瞬、芹沢が疑いの色を目に浮かべた。
冷や冷やする山崎を他所に、凜は笑顔だった。
「噂は嘘も多いと言います。だから、噂は信じ
んようにしとります故」
凜の言葉に、芹沢は感心して頷いた。
「壬生浪士組は怖い所だ。人も斬る」
「あら、それは理由があるんでしょう?」
相変わらず表情が崩れない凜に、芹沢はふっ
と笑って「そうだな」と呟いた。
「壬生浪士組は資金がない。だから、儂が京の
町民から金を取ってきているのだ」
「芹沢はんは優しい方なんどすな」
重要な情報を手に入れた凜は、誰にも気づか
れぬように山崎と目配せをした。
「優しい、か…」
「お仲間はんの事を思ってはるんでしょう?…
…やっぱり、噂は噂どす」