誠ノ桜 -桜の下で-
うんうんと何故か得意げに頷く山崎に、呆れ
たように溜め息を零す土方。
「…良くやった。ご苦労」
だが微笑を浮かべると、土方は盃を掲げる。
「今日は好きなだけ呑め!」
「おぉっ、副長太っ腹!」
盛り上がる皆とは対照的に、凜は一人無言で
酒の入った盃を見つめていた。
「凜ちゃん、呑まないの?」
「……呑んだ事ない」
ぽつりと紡がれた言葉に、声を掛けた沖田は
驚きで目を見開く。
「凜ちゃんって…幾つだっけ」
「16」
「じゃあ呑んでみなよ。美味しいよ?」
こくりと頷いた凜は、恐る恐る酒に口を
つけた。
何も知らず、一気に流し込む。
「あ、そんなに一気に呑んじゃ……」
ダンッ
「……え…、と」
勢いよく盃を膳に置くと、凜はけほけほと
咳をする。
「大丈夫?」
「……ん、らい…じょぶ…」