誠ノ桜 -桜の下で-
普段の冷静な凜からは全く想像出来ない言葉
が、今凜の口から放たれた。
案の定、沖田も驚いた。
「一人に…しないで…」
涙を瞳に浮かべ、凜は沖田に抱き着いた。
困り果てた沖田は、優しく背中を撫でる。
「…寂しいの?」
沖田の問い掛けに頷くと、凜は沖田の背中に
回していた腕を解いた。
「やっぱり、大丈夫」
急に少しだけ、いつもの弱音を吐かない凜に
戻った気がした。
だが確かに酔っている。
「…いい子だね」
そっと頭を撫でると、寄せ付けられるように
沖田は凜に口づけをした。
安心したのか、凜から直ぐに規則正しい寝息
が聞こえてくる。
布団に寝かせると、沖田は自室へ戻った。