誠ノ桜 -桜の下で-
――…
翌朝、凜は目が覚めると頭に鈍い痛みを
感じた。
二日酔い、だろうか。
取り敢えず二日酔いを和らげればと、凜は着
替えて井戸へ向かう。
冷たい水で顔を洗うと、随分とスッキリした
気がする。
だが段々頭が冴えてくるに連れて、昨日の事
を思い出してくる。
とても、思い出したいとは言えない記憶だ。
凜は縁側に腰掛け、涼しい風に当たる。
今は初夏だが、朝はまだ涼しい。
はたと思い出し、凜は副長室に足を向けた。
「土方、水城です」
「…あぁ、入れ」
失礼しますと入ると、凜は溜め息を吐く。
「…大丈夫?」
土方もまた、二日酔いらしいのだ。
「あぁ…。それより、どうした」
うん、と頷いて凜は言葉を紡ぐ。
「一応許可をと思って」
「許可?」
「松平様に、報告をしに行く事」