誠ノ桜 -桜の下で-
言うまでもなく「黙って」と牽制され、宮部は
やっと大人しくなった。
「薫も壬生浪士組入りよ」
「は?ちょっと、説明飛ばさないでよ」
びっくりするじゃん、と頬を膨らます宮部。
溜め息を吐いて、凜は短く説明をする。
「芹沢一派暗殺計画の為、私と薫は近藤派に
入って同行する。書状はここ、用意が出来たら
直ぐに行くわよ」
以上、と締め括った凜。
それと同時に素早く消え去った宮部。
凜は何事もなかったように、さっさと歩いて
藩邸を出た。
「たいちょっ…よ、いできっました!!」
「私が留守の間、しっかり隊長やってた
でしょうね?」
凜が出てから二週の間、隊長は代理で副隊長
である宮部が務めていたのだ。
「あは…勿論。俺は凜より厳しいよ?」
「ふうん、意外。薫サボってそうなのに」
グサッと尖った物が宮部に刺さった音がした
気がしたのだが、気の所為のようだ。