誠ノ桜 -桜の下で-
そのままいつものように歩き出し、壬生浪士
組の屯所に着いた。
「ご苦労様です、総隊長。…その方は…?」
門番の平隊士が、宮部を警戒した眼差しでな
め回すように見る。
「会津藩松平公直属部隊副隊長 宮部 薫。
お通し願えますかー?」
「しっ、失礼しました!!」
宮部が態と嫌味っぽく言うと、平隊士は慌て
て頭を下げて通した。
「凜は有名で俺は有名じゃないなんて、不公平
だと思うでしょ?」
と続けられた言葉に呆れ、溜め息を吐いた。
既に先が思いやられるが、取り敢えず局長室
を目指して歩く。
「近藤さん、水城です」
「おぉ水城君、入り賜え」
「失礼します」
スッと襖を開けてまず目に入ったのは、土方
の姿だった。
「お前…帰らなかったのか?」
「追加項目のようなものよ。これがそう」
そう言いながら懐から書状を取り出す。