誠ノ桜 -桜の下で-



「あ゙〜もう!」


ばったりと二人きりの道場に倒れ込む。

宮部の息は荒いのに、凜はまったく乱してな
どいなかった。


「凜さぁ…、誰に剣術教えてもらったの?」


薫の素朴な疑問に、凜は目を伏せて答える。


「松平様の側近の方」

「じゃあ流派って何なの?」


その問いには頭を悩ませ、凜は口を開いた。


「さぁ、色々混ざってると思う」

「ふぅん…。凄いよなぁ、凜…」


暫く沈黙が流れる。

しかしそれは、道場の扉を開く音によって崩
れた。


「あ、凜…………と……?」

「何だよ平助…?」

「だぁっ、いいから入れ!」


入って来たのは三馬鹿、藤堂・原田・永倉だ。


「あぁ…三人共」

「えと…誰?」

「こいつ、うちにいたっけな?」

「俺は初対面だ」


宮部を見て、皆一様に反応を示す。

宮部は立ち上がってニカッと笑った。



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