誠ノ桜 -桜の下で-
「は、はは…冗談だよ…」
余りの痛みに悶えながら、宮部は嘘を明かす。
そうと分かって三人はホッと息を吐いた。
「…じゃあ私、部屋に戻るから」
はぁと溜め息を吐きながら、凜は道場を後に
したのだった。
「あ、凜ちゃん。お帰り」
「っ…た、だいま…」
部屋の襖を開けた瞬間、目に入ったのは沖田。
凜の部屋で腰掛けている。
凜は明白に目を逸らし、また部屋を出ようと
襖に手を掛けた。
「――――――!?」
が、沖田が凜の手に自分の手を重ねた。
「…な、」
直ぐに手を引いた凜は、沖田にじりじりと壁
際に追い込まれる。
「……凜ちゃんさ…」
壁の隅、沖田の腕に挟まれて身動きが取れな
いこの状況。
凜の耳に口を近付け、沖田は言葉を紡ぐ。
「俺の事、避けてる…よね?」
「っ…、…避け、て…ない…」