誠ノ桜 -桜の下で-
もう既に、パラパラと雨が降り出している。
「私だって、松平様の命であっても。…仲間は、
斬りたくない…」
宮部や犬山、氷上。
例え命令であっても…凜はきっと、斬れない
であろうと目を瞑る。
そんな事、考えたくもないが。
「でも、松平様のお考えは正しい」
真っ直ぐに沖田を見つめ、言葉を放った。
「だから、これは誇りを持ってやるべき事よ」
優しく笑い掛けた凜の頬に、沖田の手が伸び
た。
「君は本当に…」
たじろぐ凜にクスッと笑いながら、沖田は顔
を近付けていく。
「ありがとう」
重なる唇に、凜は頬を熱くした。