誠ノ桜 -桜の下で-
雨は勢いを増し、雷を響かせた。
芹沢一派は既に屯所に帰されており、今の所
計画通りに事は進んでいる。
暗殺隊の土方・山南・原田・沖田・宮部と共に、
凜は耳を塞ぎながら芹沢へ近付いていた。
「いいか、俺が合図を出すまで必ず動くんじゃ
ねぇぞ」
小声で話す皆の中、凜一人妙な焦りを出して
いた。
「…水城、どうかしたのか」
「いえ」
表面では至って冷静な為、焦りは凜一人中腰
だという事でしか分からない。
しかし雷鳴が轟いた瞬間ビクリと跳ね上がっ
た肩に、土方は気付いた。
「雷、苦手か」
「………得意ではありません」
はぁと溜め息を吐いて、土方は指示を出す。
「お前は総司と芹沢を、俺は他の奴等全員を、
原田と山南さんは平間(ヒラマ)と平山(ヒラヤマ)を斬る」
皆小さく返事をすると、土方が合図を出す。
一斉にそれぞれの相手の下へ突撃した。