誠ノ桜 -桜の下で-



それを聞いた凜は、もう一度視線を彼等に戻
した。


「あたしも一緒に逝く!!先生がいないと、何も
楽しくない!」


わんわんと泣き喚く梅を、芹沢は愛しそうに
見つめていた。

でも決して、抱き締めようとはしない。


「梅。最期まで、済まないな…」

「最期や何て言わんといてよ…」


芹沢暗殺の計画を梅に見られた今、梅も共に
斬らなければならなくなった。

また一つ、命を奪うのだ。


「…沖田。もう無駄な抵抗は止める。一思いに
逝かせてくれ」

「そちらのお嬢さん、あたしも一緒に斬ってく
れるんよね?」


沖田と凜は、それぞれの言葉に頷いた。

沖田は菊一文字を、凜は緋桜を抜刀する。


「芹沢さん。今まで、お世話になりました…。
本当に、ありがとうございました」

「…お梅さん。どうか芹沢さんと、いつまでも
共にいて下さい」



< 79 / 154 >

この作品をシェア

pagetop