誠ノ桜 -桜の下で-
「私は松平様のお傍で、松平様をお守りする。
それが、私なりの恩返しなの!!」
「水城…」
凜は立ち上がって口論する。
胸の中の想いを見透かされたようで、悔しい
のだ。
「松平様は…松平様は、私の命より大切な人な
のよ!他に大切な物なんて、もういらない!!」
勢いよく捲し立てると、部屋を飛び出した。
こんな感情、いらない。
嫌だ。
また失うのが――怖い。
だから…この想いは
誰にも言わない。