誠ノ桜 -桜の下で-



「薫は?」

「先行った」


面倒そうに氷上が答えると、行くぞと言って
踵を返した。


今回の重要任務は、この四人で行われる。

いや、もう既に行われているのだ。


凜達も氷上の背を追って道場を後にした。







――…


「薫、どう」

「まだ」

「眠ぃ」

「駄目ですよ」


四人でコソコソと様子を探っている相手は、
倒幕を企てる者達。

最近目に余る行動をする為、会津の凜達が片
を付ける事となったのだ。


「行くよ」


凜・宮部・氷上・犬山が一様に構える。

……氷上はかなり眠そうにだが。


「会津藩松平公直属部隊特攻隊、松平様の命
によりあんた達を粛正する」


凜が寺田屋の扉をパァンと勢いよく開けて、
かっこよくそう言い放った。

特攻隊とは、特別指令で動く時の隊の事だ。


「っ会津藩の水城 凜!?ちっ、逃げろ!!」


凜を見た瞬間、男達は顔色を変えて一目散に
逃げ出してしまった。



< 9 / 154 >

この作品をシェア

pagetop