誠ノ桜 -桜の下で-
「薫は?」
「先行った」
面倒そうに氷上が答えると、行くぞと言って
踵を返した。
今回の重要任務は、この四人で行われる。
いや、もう既に行われているのだ。
凜達も氷上の背を追って道場を後にした。
――…
「薫、どう」
「まだ」
「眠ぃ」
「駄目ですよ」
四人でコソコソと様子を探っている相手は、
倒幕を企てる者達。
最近目に余る行動をする為、会津の凜達が片
を付ける事となったのだ。
「行くよ」
凜・宮部・氷上・犬山が一様に構える。
……氷上はかなり眠そうにだが。
「会津藩松平公直属部隊特攻隊、松平様の命
によりあんた達を粛正する」
凜が寺田屋の扉をパァンと勢いよく開けて、
かっこよくそう言い放った。
特攻隊とは、特別指令で動く時の隊の事だ。
「っ会津藩の水城 凜!?ちっ、逃げろ!!」
凜を見た瞬間、男達は顔色を変えて一目散に
逃げ出してしまった。