誠ノ桜 -桜の下で-
受け取った刀は重く、幼い凜にはまだ早い気
がした。
そして、その次の年の冬だった。
『ば、化け物だ!!』
桜を見て、旅から帰ってきた村人が叫んだ。
何事だと、忽(タチマ)ち人が集まる。
『俺ぁ見たんだ、この女が鉄也(テツヤ)に斬られ
た桜から生まれたのを!!』
鉄也とは、村で鍛冶屋を営む凜の父。
……つまり、桜の夫だ。
それを聞いた村人達は、ざわざわと騒ぎ出す。
『復讐に来たんだ、皆殺される!!!!』
言い出した男が刀を取った所為で、村人達も
次から次に武器を構えた。
騒ぎを聞き付けて鍛冶をしていた鉄也が来る
と、凜は鉄也の後ろに隠れた。
『何をしているんだ!刀を下ろせ!!』
桜に刀を向けていると分かった鉄也は、村人
達に怒鳴った。
言い出した男以外はたじろいだが、男は鉄也
にまで桜の事を言った。