誠ノ桜 -桜の下で-
『何があって、何故子供に刀を向けるのだ』
松平にそう聞かれ、一人の村人が答える。
『その女子は、化け物の子なんです』
『化け物?』
ううむ、と唸る松平に捲し立てるように他の
者も口を開く。
『復讐に来た、桜の子なんです!』
『もう親は村の者に斬られたんです、放って
置けばそやつも復讐に…!!』
口々に喋り出した村人達を牽制し、松平は表
情を変えた。
…怒った表情だ。
『だからと言って、何の罪もない子供を斬る
と言うのか!』
松平の勢いに尻込みし、村人達は何も言えな
くなった。
『この子供は私が連れて行こう』
『松平様…』
松平の傍にいた付き人は、仕方ないと言った
様子だ。
『お前達は村へ戻り、この子供の親とやらを
大事に葬ってやれ』
『は、はい…』