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その時、教室の扉が控えめに


ガラガラと開いた。


ユカの口角がキュっと上がった。



「……。」



あたしたちの空気を悟ったのだろう、


扉を開けた奴が


あたしの左側を通過した時…。



―ガタ!!



どうやら何かにつまづいたらしい。


派手な音を立てて転んだ。



「…何、勝手に転んでんの?」



あたしがポソッと言葉を零す。


その時の奴の表情が堪らなく面白い。


目を真っ赤に充血させて、


下唇を噛んでいる。


ほんの数秒だけ、あたしを睨んだ事は


勿論、見逃してはいない。


あたしが睨まれた理由に心当たりがある。



多分ね、


あたしの足に引っかかったんだと思う。


当然、その足に引っかかるのを


見越して足を出していたんだけどね。




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